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日本 [青森] 令和元年、青森県の新しい酒米「吟烏帽子(ぎんえぼし)」が本格始動


vol.3 熱い思いを込めて、青森の酒を伝える

Journal / JapanSep. 27, 2019

text by Kei Sasaki / photographs by Hide Urabe

青森が全国有数の酒どころとして知られるようになった背景には、多くの人々の長年に渡る努力と連携がありました。そして忘れてならないのが、酒販店や地元の飲食店の存在です。蔵元から預かった酒を健全に管理し、最良の状態で飲み手の元へ。一本の酒が広く知られ、人々の暮らしに根付く過程で、真摯な“届け手”たちが、酒文化の一端を担ってきました。


酒米の生産者も訪れる酒屋

「くるみや」の安ヶ平慎二さん。「長年、日本酒を扱ってきて、まさか地元八戸の米で出来た酒を全国にアピールできる日が来るとは思いもしませんでした。お酒を選ぶ選択肢が増え、ますます魅力を増す青森の酒をしっかり伝えていきたいです」



県内に数ある酒販店の中で、「吟烏帽子」の誕生を誰より喜んだひとりが八戸市「くるみや」の代表、安ヶ平(やすがひら)慎二さん。創業50年の「くるみや」は、一見したところ町の酒屋さんという佇まいですが、八戸市郊外の静かな住宅街にある店に全国からお客が訪れる日本酒好きには知られた人気店です。

安ヶ平さんは、東京の大学卒業後、一度はレジャー産業大手に勤めた経験があります。ときは1980年代、コンビニエンスストアが続々と店舗数を増やす東京で「この流れは必ず地方にも来る」と確信し、家業を継ぐべく八戸に戻った30年前から、日本酒に力を入れ、業界ではいち早くネット販売をスタートしました。「配達中心の従来の営業形態では、遠からずコンビニや量販店といった大手に太刀打ちできない日が来るという危機感からです。まだ青森の酒といっても、一、二蔵しか名前を知られていない時代でした」

日本酒に特化した店にしたい。そう考えた安ヶ平さんにとって、ネット販売は好適でした。全国で人気の地酒を県内に紹介できるうえ、青森の酒を、県外へアピールできる。地元の飲み手を育てて日本酒が楽しまれる地場を固め、県内の蔵と手を携え、販路を全国へ。内と外への働きかけを地道にコツコツと続けてきました。「青森の酒が買える店」といえば名が挙がる店には、飲食店経営者はもちろん、市内の酒場で飲んだ一本を探し求める県外の旅行者、そして酒米の生産者までが訪れるといいます。「“俺の育てたレイメイで造った酒、ここなら買えるって聞いてよ”とわざわざ来てくださる。嬉しいですよね」安ヶ原さんは、表情をほころばせます。





日本酒ショップ くるみや
青森県八戸市旭ヶ丘2-2-3 tel 0178(25)3825 10:00~18:00  日・月休
※ ネットは24時間注文受付
https://www.sakaya1.com/



「あの人に飲ませたい」という気持ちで選ぶ

「佐藤商店」三代目、佐藤隆夫さん。「まだ生産量も限られているので、雑味なくキレのある持ち味を生かした大吟醸中心に造られていますが、今後は低精白で醸す純米酒にも期待していきたいです」。



青森駅そばにある「佐藤商店」三代目、佐藤隆夫さんもまた、青森酒販店界のリーダー的存在。やはり店を継いだ20年ほど前から日本酒に力を入れ、専門性の高い店づくりを続けてきました。看板は、蔵元が「佐藤商店」のためだけに瓶詰めする限定の蔵出し酒。「試しに造ってよ、って言ってみたら造ってくれちゃったもんだから」と、冗談めかして話しますが、3種ほどの蔵出しの酒は、酒蔵との信頼関係の証にほかなりません。

「蔵元に言いたいことははっきり言うんです。“おいしいけど、つまらないね”とかね(笑)。苦みや渋みを無理に取りすぎてきれいな味にせずに、苦みや渋みをも活かした酒が欲しいと思えばそれも言う。喜ぶお客さんがいるのを知っているからです。その代わり、預かった酒は責任を持って管理し、ベストな状態で届ける。お客様の“おいしかった”は、私たちではなく、酒蔵へ、蔵人へ届けばいい」

飄々と語られる言葉のなかに、熱意がにじみます。「飲み手の最前線でありたい」と、佐藤さん。試飲をしながら一対一で接客を行うのも店のスタイル。蔵で試飲をしているとき、長い付き合いの常連客の顔が浮かぶこともしばしばで、「あの人に飲ませたい」が、店の仕入れの基本にあるといいます。「ここ10年で青森の酒は目覚ましくレベルが上がっている。吟烏帽子はその流れを、さらに後押ししてくれるのではと期待します」酒を愛し、酒蔵を敬い、深く、広く伝える“届け手”が「吟烏帽子」のこれからを見守ります。





地酒庵さとう
青森県青森市安方1-4-4 tel 017(722)3087 9:30~19:30  日休
https://www.zizakean.jp/



土地が醸すうまい酒は、土地のうまいもんと

南部を代表する都市・八戸市では、昭和の面影を残す横丁街が今も現役。まだ生産量がごく限られた「吟烏帽子」の酒ですが、大衆酒場や小料理屋、バー、スナックと新旧さまざまな店で楽しめるようになりつつあります。



これから「吟烏帽子」の産地となっていくだろう南部・下北地方では、飲食店もまた新しい酒米の誕生に沸いています。自然環境や歴史の中で育まれた食文化が今も色濃く残り、同じ県内であっても地域ごとに異なるさまざまな郷土の味があるのが青森の食の魅力。地元の人々の「我が町・村のうまいもんがやっぱり一番」という郷土愛はとても強く、伝統の味が継承され続けている所以でもあります。地元産の米「吟烏帽子」で地元の蔵が醸した酒に期待を寄せるのも、当然というわけです。



海の幸、山の恵み……青森はうまいもんの宝庫。

「日本酒をおいしく味わいたいなら、ぜひその土地の料理と一緒に」とは、蔵人たちが口をそろえる言葉のひとつです。夏のホヤにウニ、冬の白子、海から揚がって数時間で皿にのるぴちぴちのイカや、素晴らしく脂が乗ったサバ。山や田畑からは山菜、山芋、にんにくなどなど……。シンプルな刺身や古くから親しまれる郷土料理もいいけれど、サービス精神旺盛な店主が生み出した創作料理もたまりません。長芋を使った豆腐ステーキに南部せんべいのピザ。一見、奇を衒ったかのように見えるつまみの味がぴたりと決まるのは、郷土の食材の魅力と酒の味を知り尽くしているからこそ。



八戸の夏の味覚のひとつ、平ガニ(ヒラツメガニ)。小さいが味わいは濃厚。



しめさばには八戸前沖で水揚げされたさばを使用。夏場は比較的さっぱり、冬場は脂がより豊かになる。



冷たい海水で育つオイランガレイは身の締まりが格別。軽い干物にして焼き物で。



刺身にできない小ぶりのホヤを使用。ホヤの塩気が染み出た汁が滋味深い。



八戸はウニの産地でもある。郷土料理いちご煮は有名。旬の夏は獲れたてを生で。



みそ貝焼きは下北地方の郷土料理。貝殻を器にホタテをみそで煮込む。酒によし、ごはんにも。



トロトロ豆腐ステーキは、豆腐を青森県産の長芋とチーズ、卵で焼いた一品。しっかりかき混ぜていただく。



田子産にんにく丸ごと揚げ。女性のこぶし大はありそうなにんにくを皮ごと素揚げに。甘みがフルーツのよう。



南部せんべいを使ったおつまみピザ。柔らかなプレーン、長芋、塩辛のせの3種。



地元の食材と酒を知りつくした店の人に、時期のおすすめを聞いてみるのがうまいもんへの近道。



町の人々で賑わい、旅人も優しく迎え入れてくれる横丁の名店は、八戸の町の懐の深さの証。そして八戸以外にも県内には昔ながらの味を伝える小さな酒場や食堂が県内のいたるところに残り、老若男女に愛されています。今後広がっていくであろう「吟烏帽子」の産地にも、それを醸す酒蔵がある町にも、一軒、二軒、そんな店が見つかるはずです。土地の米、水、そして人が造る「テロワールの酒」は、地域の食とともに、代替不可能な、しかし誰もが享受できる土地固有の財産になっていくはずです。



八戸の横丁について
https://hachinohe-kanko.com/10stories/yokocho





「吟烏帽子」に関するお問い合わせ
◎ 青森県農林水産部総合販売戦略課

青森県青森市長島1丁目1-1
TEL 017(734)9607 FAX 017(734)8158
E-mail hanbai@pref.aomori.lg.jp











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