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暮らしの真ん中で考えてきた。

「シュクレクール」が対面販売をやめた理由。

Feature / MovementJun. 1, 2020

text by Kaori Funai / photographs by Jun Kozai

今年1月、大阪・北新地の「シュクレクール」がリニューアルした。
30 種のパンが並ぶショーケースからパンを選び、レジへ運ぶのはお客さんだ。
ブレッドカッターやオーブントースターでパンを切り、温めたりもできる。
店主・岩永 歩さんが対面販売を撤廃し、新たなスタイルに踏み切った理由とは?

TOP写真:日本初導入!ドイツのWanzl社製ベーカリー専用ショーケース。強化ガラスで覆われた扉は、開ける時は手動で、手を放すと絶妙なタイミングで自然に閉じる。衛生管理を重視したシステム。


未来志向のショーケース

きっかけは昨年末、接客の中心を担っていたマネージャーが退社したことでした。時期を同じくして、入ったパートさんが続かない事態が重なり、“募集かけてトレーニングして”の繰り返しに、人も店も疲労の色が濃くなっていました。
16年前「シュクレクール」を開いてからずっと、“対面至上主義”的な感覚がウチにはあるけれど、果たしてそこに未来はあるのか? 他にも難問を抱え、決断を迫られる中で有効な施策を見出せず、抱え込み過ぎて崩れ落ちる寸前の日々をなんとか耐えていました。

すると、ウチのジェネラルマネージャー・横田益宏が「対面販売、撤廃しませんか?」と提案してきました。持ち場である彼からの一言は、16年続けてきた対面のスタイルを未練なく諦めさせてくれる重さがありました。ただ、まだ次のアイデアはありませんでした。対面以外の販売をしたことがなく、じゃあどんな形態に? 今あるショーケースのガラスを外して使うことも考えました。

しかし、それでは対面販売が“できなくなった”というネガティブな印象しか与えません。
働く「人」に関する問題は、もはや飲食全体の問題。自分たちだけではない「変化」のメッセージを、苦しんでいる同業者や応援してくれているお客さんにも伝えなきゃいけない。イメージを「次」へと向けさせなきゃいけない。でも、糸口が見えないまま、時間だけが過ぎていきました。

そんな中、横田がYouTubeの世界の経済ニュース番組で見つけたのが、このドイツ製のショーケース。取り寄せたパンフレットを見た瞬間、僕には未来しか見えなかった。実物も見ないまま「これに賭けよう」と腹を決めました。

印象操作ってすごく重要で、そこに「デザインの力」は必須だと思っています。すぐに問い合わせましたが、メーカー側は簡単には売らないスタンス。「日本は環境後進国だから、パートナーとしてあまり考えられない」と。そこから僕らの背景を説明しました。対面販売を主流にさせた店であること、しかし時代の流れで変化の道を探していること、このアクションが「次」を指し示すことになり得ること。

「なるほど、面白い!」と代理店の社長に興味を持ってもらい、迅速なサポートを受け、まだヨーロッパでもデリバリーされてないショーケースが日本初導入となったのです。ちなみにこのショーケース、95%が土に還る素材でできている。「食」とは切っても切れない環境に関しても、ドイツの配慮はすばらしいものでした。


切るのも温めるのもセルフで。ベルギー製ブレッドスライサーも導入。パンドミあるいはバタールを右奥に置き、扉を閉めてスイッチオン。カットされたパンは自分で袋に入れる。

購入したパンを温めることもできる。温度や時間などの詳しい説明付き。


サービスの加減を考える

対面販売をやめたことで得たものも多かった。まず、わかりやすくお客さんの流れが早くなりました。店の外まで続いた列はなくなり、ランチ時の来客が増えました。これは「すぐ買える」と思わせる、ショーケースのデザインの力もあると思います。そして「扉を開け、手袋を着けてパンを取る」スタイルは、この見た目と相まって、お客さんに「新しい」印象しか生まなかったようです。

長年続けた対面販売をやめたことへのネガティブな反応を懸念していた僕らが拍子抜けするくらい、好意的に受け止めてもらえました。

このタイミングで一気に社内改革も進め、12年続けたパティスリーを閉め、パン以外の部門を一旦縮小。これは、常に先行してお客さんに提案し続けてきた結果、「実際、何がどのくらい必要」なのかが見えづらくなってきたから。
「サービス」についても然り。あれやこれや、良かれと思ってやってきたことが、「店側がやるのが当たり前」のような風潮を生んでやしないか。もう一度、考える機会にしたいなと。
ショーケースの「枠」の制約によって強制的に商品数が減ったことも、どれくらいの種類が適切なのかを考える、良い機会だと捉えてます。今のところ、20種近く減っても売り上げは変わらないので、厨房の負荷は確実に軽くなりましたね。

また、接客における専門性を薄くしたことで、「中」とか「外」とかの区分なく、全員がフレキシブルに動けるチーム作りへの転換も推し進めています。昨年から一気に若いスタッフ中心の流れになったのもあり、これからの様々な時代の変化に対応できるスキルや思考を得ながら成長できる場になれたらと思います。

僕たちの蒔いた種が、次の世代でどんな芽を出し、さらに次の世代がどんな花を咲かせるのか。良いバトンを渡し、お客さんを巻き込んで食の未来を一緒に創れたら最高ですね。





◎ Le Sucré-Coeur ル・シュクレクール
大阪府大阪市北区堂島浜1-2-1 新ダイビル1F
☎ 06-6147-7779
10:00 ~ 18:00(6月以降~19:00)
月曜、火曜休
http://www.lesucrecoeur.com/
イートイン再開は6月から、テラス席のみ














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